平成14年度 春期 ソフトウェア開発技術者 午後1
問1 問2 問3 問4 問5 問6 解答例(若林研二氏) 
注:等倍フォントでご覧ください。 

問 3
 VPN に関する次の記述を読んで,設問 1〜4 に答えよ。

 二つのサイト A,B 間で,セキュリティが確保された通信を行う方式の一つに
VPN (Virtual Private Network)がある。図 1 に,ホスト A,B 間で,VPN 装置 A,B
を経由し,IP を用いて通信を行う場合のシステム構成を示す。VPN 装置 A,B 間の
通信に必要な情報,例えば暗号化の鍵やルーティング情報などは,事前に適切に設
定されているものとする。


 

 図 1 中の VPN 装置は,自サイト内のホストから VPN 通信を行うサイトあての IP
パケットを受け取ると,次の変換を行い,相手サイトの VPN 装置へ送信する。

(1)受け取った IP パケット全体を秘密鍵方式で暗号化する。
(2)暗号化したパケットに,自分から相手サイトの VPN 装置あてとなる IP ヘッダを
 付ける。
(3) IP ヘッダと暗号化したパケット全体からハッシュ関数の値を計算し,認証デー
 タとしてパケットに設定する。
  変換後の送信パケットの構成を図 2 に示す。
 
 
IPヘッダ
認証
データ
暗号化された
IPパケット
図 2 送信パケット

 VPN 装置が相手サイトの VPN 装置からパケットを受け取ると,次の処理を行う。

(4) VPN 通信を行っているサイトの VPN 装置からのパケットであることを確認後,
 認証データが正しいかどうかチェックする。
(5)認証データが正しい場合,受信したパケットの中から暗号化されているバケッ
 ト部を取り出して復号し,復号した IP パケットの送信先アドレスへ転送する。

設問 1
 VPN 装置のパケット変換について,次の問いに答えよ。

 (1)パケットを暗号化することは,セキュリティ上,何を防止するためか。5 字
  以内で答えよ。
 (2)パケットにハッシュ関数値を付加することは,セキュリティ上,何を防止
  するためか。5 字以内で答えよ。

設問 2
 ホスト A からホスト B に VPN を使ってパケットを送信するときに,表に示す
それぞれの区間で,IP ヘッダ内に現れる送信元アドレスと送信先アドレスは何
になるか。次の表中の【  ア  】【  エ  】に入れる適切な字句を答えよ。
 
 
表 各区間における送信元アドレス及び送信先アドレス
区間
送信元アドレス
送信先アドレス
ホスト A → VPN 装置 A
ホスト A
【  ア  】
VPN 装置 A → VPN 装置 B
【  イ  】
【  ウ  】
VPN 装置 B → ホスト B
【  エ  】
ホスト B

設問 3
 次の記述の中で,問題文中に示されている VPN の実現方式の特徴を述べてい
るものをすべて挙げ,記号で答えよ。

 ア VPN を使用するアプリケーションは,専用のライブラリをリンクする必要
  がある。

 イ VPN を使用するためには,サイト間に必ず専用線を引かなければならない。

 ウ 公衆通信網の電話網やフレームリレー網を使っても,セキュリティが確保
  された通信を実現できる。

 エ サイト間の通信方式を,VPN を使用しない方式から VPN を使用する方式に
  変更しても,アプリケーションの変更は必要としない。

 オ データリンク層(レイヤ 2 )でトンネリングを行っている VPN の実現方式
  である。

 カ 特定のアプリケーションだけが, VPN を使用できる。

設問 4
 サイトA,B 内のホストアドレスをインターネット側に公開しないために,ル
ータ A,B に IP パケット内の特定の内側アドレスをインターネット側アドレス
に変換する NAT 機能をもたせることにし,VPN 装置 A,B だけインターネット
側にアドレスを公開することにした。しかし,NAT 機能を導入したことによっ
て,サイト A,B 間の VPN 通信ができなくなってしまった。その理由について
述べた次の記述中の【  オ  】【  キ  】に入れる適切な字句を 10 字以内
で答えよ。ここで,VPN 装置 A,B のインターネット側 IP アドレスをそれぞれ
VPN 装置 AX,VPN 装置 BX とする。

 NAT 機能を導入した場合,サイト A からサイト B へ送るパケットの IP ヘッ
ダ内のアドレスは,VPN 装置 A から送り出す時点では,送信先が【  オ  】
送信元が VPN 装置 A である。また,VPN 装置 B が受け取った時点の IP ヘッダ
内のアドレスは,送信先は VPN 装置 B,送信元は【  カ  】である。このよ
うに,IP ヘッダの内容が変更されていて,VPN 装置 B での【  キ  】に失敗
してしまうので,VPN 通信ができなくなる。

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